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2016年10月6日木曜日

今後、公的年金はどれくらい減るのだろうか。
厚生労働省は2014年6月に、5年に一度実施する年金制度の「財政検証」の結果を発表している。
財政検証とは、公的年金の長期にわたる財政の健全性を定期的にチェックするもので、今回の財政検証では経済成長の前提が異なる8バターンの将来推計が出されている。
この財政検証で注目すべきは、高齢男性の大半を70歳まで働かせないと「公正年金の所得代替率50%以上」という目標を達成できなくなるという事実である。
所得代替率とは「年金支給額が現役世代の手取り収入の何パーセントに相当するか」を示す数字であり、厚生労働省は年金保険料を40年払い続ければ、現役時代の5割以上の年金を支払うと主張してきた。
ところが、今回の財政検証では「所得代替率50%以上」の達成が極めて困難だということが明らかになった。
現在65~69歳男性の労働力率は49%だが、今回の財政検証のA~Eのケースでは高齢者の67%が働く前提になっている。
もし70歳まで働かなければ、厚生労働省の推計によると、所得代替率は最悪35%~37%まで低下する可能性があるとする。
つまり、もらえる年金金額は現在の6割になってしまうのである。
現在の厚生年金のモデル年金は月22万3000円で、所得代替率が62.3%だが、高齢者が70歳まで働かない場合の厚生年金は月12万9000円まで下がってしまう。
一方、70歳まで働いたとしても年金の給付水準は月18万2000円まで下がる。
つまり、「70歳まで頑張って働いて月18万円もらう」か「65歳まで働いて13万円もらう」という二者択一の選択肢しか残されていないのである。
以上はサラリーマンの年金の話だが、自営業の国民年金加入者はもっと悲惨である。
国民年金も厚生年金と同じペースで支給額は減っていき、現在月6万5000円が3万9000円になる。
夫婦で合わせて月7万8000円しかもらえないのである。
現在、生活保護を受給している人は220万人もおり、世帯類型別に見ると、その半分が高齢者世帯となっている。
生活保護を受けているということは、老後破綻しているということである。
しかし、実際には生活保護以下の収入しかない人は多く存在する。
例えば、現在の厚生年金のモデル年金は夫婦で月22万円となっているが、実際の支給額の平均は月14万円と生活保護基準以下となっている。
40年間、フルに年金保険料を支払っている人は多くないからである。
つまり、現時点でも年金だけで暮らしている老人の大部分が老後破綻しているのである。
国連海洋法条約は、全17部320条という膨大な条文と、9つの附属文書で構成されている。
領土・領海にかかわる定義などが細かく規定される一方で、あいまいな部分が多く含まれることも事実である。
しかし、全ての当事者は利益に対する公正性が担保されるべきだという鉄則がある。
国連海洋法条約が全文に掲げた「平和の維持、正義」「すべての国の主権に妥当な考慮を払いつつ、国際交通を促進し、海洋の平和的利用、海洋資源の衡平かつ効果的な利用」「公正かつ衡平な国際経済秩序の実現」という理念は、南シナ海問題をめぐる外交交渉の土台となるべきである。
オバマ政権のリバランス戦略を検証した米戦略国際問題研究所(CSIS)が2016年1月に発表した報告書では、南シナ海の今後について2030年までに事実上中国の湖になる」と記されている。
中国軍の戦力に対する評価は様々だが、米ランド研究所が2016年1月に公表した尖閣諸島をめぐる日中の軍事衝突に関する戦闘シミュレーションでは、米国が限定的に軍事介入(潜水艦による対艦攻撃)した場合でも、状況発生から5日で海上自衛隊は戦力の5分の1を失って敗北し、尖閣を中国に奪われるとの結果が出ている。
このシミュレーションを統括したデーヴィッド・シュラパク上級研究員は、「米軍が尖閣をめぐる戦闘に介入することは最大級の戦略的な失敗だ」とまで言い切っている。
米国防総省が公表している南シナ海の諸島で、中国の人工島の造成面積は、2016年前半時点で約13平方キロに達している。
〇南沙(スプラトリー)諸島(中国は7つの岩礁で人工島を建設)
・永暑(ファイアリークロス)礁=3000メートル級滑走路、灯台
・渚碧(スビ)礁=3000メートル級滑走路、灯台、農園
・美済(ミスチーフ)礁=3000メートル級滑走路、灯台
・華陽(クアテロン)礁=レーダー施設、灯台、ビル、港湾
・赤瓜(ジョンソン南)礁=レーダー施設、灯台、自走砲を揚陸
・南馨(ガベン)礁=レーダー施設
・西門(ケナン)礁/東門(コューズ)礁=レーダー施設
〇西沙(パラセル)諸島(中国が全域を実効支配)
・永興(ウッディー)島=2600メートル滑走路に戦闘機、戦闘爆撃機、地対空ミサイル、大型無人機を配備
〇中沙諸島(マックレスフィールド岩礁群)
・黄岩島(スカボロー礁)=中国がフィリピンを排除して実効支配、人工島建設の懸念あり
南沙諸島での人工施設は、1988年に中国が一部の岩礁を支配して以来、小規模な施設が次第に建設されていった。
1988年には西沙諸島のウッディー島に初めて2600メートルの滑走路が建設された。
2012年の中国共産党第18回大会ほ経て、誕生した習近平政権が、最初に手を付けた海洋分野の改革は「国家海洋局」の再編だった。
国家海洋局は、従来から北京の復興門外にある庁舎にあったが、習近平は総書記就任直後から尖閣諸島問題への対応を念頭に、バラバラだった海上での法律執行機関を新たに「国家海洋局」の下に一本化した。
それまで艦艇を援用して領海警備や漁業監視を担う中国の司法・行政機関は、下記の5つに分かれていた。
1.旧国家海洋局の「中国海監」
2.農業省漁業局の「中国漁政」
3.交通省海事局の「中国海巡」
4.公安省辺防管理局の「中国海警」
5.中国税関総署の「中国海関」
米海軍では、「五匹の龍」と呼んで海洋権益確保に対するそれぞれの役割を分析していた。
「中国海監」は海洋局直轄の「総隊」の下に地域別の「支隊」が編制される大組織であり、船艇には海軍艦艇を改装したものもあり、南シナ海南部でインドネシアとの間で起きた洋上摩擦では、多連装機関銃を装備した艦艇が目撃されている。
新たな国家海洋局の下には、交通省の「中国海巡」を除く「四匹の龍」を統合した海洋警察機関として「中国海警」が2013年に成立された。
尖閣周辺の接続水域や領海で活動するのは、この「中国海警」が担い、機関砲を搭載して尖閣周辺に現れた公舩も、「中国海警けの所属である。
中国では2015年末に陸軍が独立した軍種となるまで、人民解放軍に陸軍司令というポストは存在しなかった。
それほど陸軍の比重が大きかったのである。
また人民解放軍は、すつての国民革命軍が中国国民党の配下にあったのと同じく、今もなお「中国共産党の軍隊」と位置付けられている。
中国は1991年以降、南シナ海問題で多国間協議に応じる方針転換をみせた一方で、1992年2月には「中華人民共和国領海および隣接水域法」(領海法)を施行している。
全文わずか17条のこの法律は、南沙諸島など南シナ海の四諸島、そして台湾の「附属島嶼」として尖閣諸島(釣魚島)の中国帰属を第二条に列記している。
この法律では、異なる政権統治下で2300万人の人々が暮らす台湾までも当然のように中華人民共和国の領土として明記されている。
ちなみに2012年9月に、日本政府が尖閣諸島を「国有化」した事に対して「日本は中国の主権と領土を侵害する誤った言動を直ちにやめるべきだ」(習近平国家副主席)として猛反発したが、中国は既に1992年の領海法で「国有化」しているのである。
今日、東・南シナ海近隣諸国が直面している中国との領海問題は、全てこの領海法が中国側の法的根拠となっている事を考慮すると、1992年に領海法が施行された時点で、中国に対してASEAN諸国、米国を巻き込み、徹底的に抗議すべきだった。
米エネルギー情報局(EIA)によると、現在、南シナ海全体の石油埋蔵量は約110億バレル、天然ガスは190兆立方フィートとみられ、1968年に国連アジア経済委員会の調査により、この海域に豊富な石油資源が埋蔵されている可能性を報告して以来、半世紀を経て石油価格が低迷する中でも、洋上での資源開発が活発に行われている。
特に米国の影響下にあった戦時下の南ベトナムは、1970年に鉱区設定と試掘に必要な法整備を終え、国際入札によるベトナム沖大陸棚の石油開発に着手した。
その後、統一後のベトナムは1980年代後半から「ドイモイ政策」の下で石油の開発・探索を進め、2012年1月時点で、アジア太平洋地域3医となる44億バレルの石油埋蔵量が確認されている。
重慶で対日抗戦を指導していた中華民国の蒋介石は、米フーバー研究しよに保管している自筆の日記によれば、日本のポツダム宣言受諾とほぼ同時に、日本軍の占領から離れた香港を英国から取り戻すことを画策し、英国東洋艦隊の香港到着より先に占領部隊をなんかさせようと動き始めている。
結果的には思いは果たせなかったものの、蒋介石は「欧米と対等の連合国指導者」という自負の下で、失われた中国領土の回復を目指した。
1945年末に西沙(パラセル)諸島の接収に着手した中華民国は、翌年には南沙(スプラトリー)諸島をはじめとする南シナ海全域の島嶼接収に乗り出している。
今日、中華人民共和国が南シナ海全域を支配権といる上で境界線と主張している「九段線」は、一般には1947年に中華民国内政部(内務省)が南京で制定したものが原形とされている。
島嶼は、南シナ海をU字形に囲む9本の破線のほか、トンキン湾に2本の線が引かれていたことで、「十一段線」だったが、これを引き継いだ中華人民共和国が、北ベトナムとの当時良好だった近隣関係に配慮して、現在の「九段線」に改めた。
国の経済活動を考える上で重要なのは、「現役世代負担率」である。
これは、老年人口(65歳以上)を生産年齢人口(20~64歳)で割ったもので、つまり一人の働き手がどれくらいの数の老人を支えねばならないかを示している。
そして、住宅価格は、この現役世代負担率と密接な関係があることが、理論的にも明らかになっている。
老年人口が増えて生産年齢人口が減れば、地下は下がるのである。
現在の経済水準と地価を維持するためには、現役世代負担率を抑える必要があり、そのためにできる選択肢は限られている。
1.定義を変え、老人を65歳から75歳以上にして、生産年齢を20~74歳にすれば、現役世代負担率は維持できる。
2.移民を受け入れる。
3.女性が働きやすい環境をつくる。
最近、人口が都心に回帰しているとよく言われる。
しかし、都心への転入人口は、それほど増えてはいない。
一方で、都心から転出していく人口がへっており、その結果、都心の人口が増え、都心回帰しているように見えるのである。
正確には、「都心滞留」と言った方が正しい。
都心から人口が転出しなくなって理由は、子供が生まれないからで、子供が生まれたら家族が増え、広い家を求めて郊外に住む必要が出てくる。
それが嫌だから、子供を産まない人が増え、結果的に転出が減ったのである。
そもそも子供を産む気がない人が、都心に転入している可能性もある。