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2014年12月3日水曜日

国土交通省によると日本では毎年10数兆円の住宅投資が行われている。
しかし、国民経済計算のデータによると、日本の住宅資産額(つまり価値)は常に、220兆円から250兆円となっており、価値は上昇していない。
つまり、価値の増加しないマーケットに対して、毎年10数兆円もの投資が行われているのである。

2013年現在の空き家率は13.1%だが、野村総研の推定によると、2003年と同じく年間120万戸の住宅が新たに着工されていくならば、2040年には空き家率は43%に達するというデータを発表している。
着工数が半分に減ったとして毎年60万戸に抑制したとしても空き家率は36%となる。
価値総合研究所(日本政策投資銀行系列)が、2013年11月に発表したアンケート調査(2187人)によると、自宅以外で住宅を所有している人の17%が空き家になっている。
この空き家の内訳をみると、74%が戸建住宅で、その殆どが「農山漁村地域」ではなく、「市街地」かその周辺部となっている。
<空き家の立地状況>
市街地35%、市街地周辺25%、市街地外14%、郊外7%、農山漁村16%、その他3%
空き家になっている理由は、「相続してそのまま」が44%、「住み替え」が24%と、2/3が個人宅として使用されていた住宅が、空き家になっている。
空き家になっている住宅の築年数は68%が築20年以上であり、33%が築36年以上となっている。
空き家の半数以上がすでに3年以上、空き家になっているという。
賃貸住宅の空室が深刻なのは大阪圏で、空室率は20%に達している。
大阪が深刻なのは首都圏以上に高齢化の進展が早いことである。
現在の大阪圏の人口1800万人に対して、高齢人口は485万人と高齢者比率は26.9%となっている。
この比率が2020年には29.1%、2050年には40%に達することになる。
都内の賃貸用住宅の空き家は、2003年の46万戸から2008年には49万2000戸と6.9%増加している。
東京都の賃貸住宅340万戸に対して、空き家率は14.5%となる。
流動性が高い都内の賃貸住宅としては、今のところ問題となる数値ではない。
問題なのは、「その他の住宅」に分類される個人宅の空き家数である。
都内においても、2003年の14万1000戸に対して、2008年には18万9000戸と34%も増加しているのである。
全国の賃貸用住宅の空き家数は1998年に352万戸、2008年に413万戸と17%増加している。
団塊の世代とは、1947年から1949年にかけて、たった3年間に生まれた800万人強の人達を指している。
この団塊の世代の4人に1人が首都圏に住んでおり、既に65歳に達している。
今後、首都圏の高齢者の数が一気に増加するのである。
首都圏の新築マンションは、2013年で5万6500戸が供給された。
関西圏で2万5000戸、中京圏で6000戸。
この三大都市圏だけで、8万7500戸の新築マンションが供給されている。
さらに戸建て住宅も2013年には、5400戸が供給されている。
合計すると9万2900戸の新築物件が三大都市圏で供給された一方で、全国では毎年20万戸の空き家が増えている。
「空き家」と言っても色々なタイプがある。
日本の住宅総数は、2008年時点で5785万戸。
総務省の「住宅・土地統計調査」では、住宅総数を「居住者世帯」(4960万戸)と「非居住者世帯」(798万戸)の2種類に分類される。
そして、非居住者世帯は、「建築中」(9万戸)、SOHOのような「一時現在者のみ」(32万戸)を加えて、実際に「空き家」(757万戸)になっている戸数が集計されている。
空き家はさらに、「賃貸用の住宅」(413万戸)、売却できていない「売却用の住宅」(35万戸)、別荘などの「二次的住宅」(41万戸)、居住者がいなくて放置された個人住宅は「その他住宅」(268万戸)に分類されている。
つまり、空き家の半数は賃貸住宅用の物件になっている。