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2017年6月25日日曜日

都市ガスが使える地域でも新築の際の配管設備費用が安い事からプロパンガスが選択させるケースが多い。
意外と思うかも知れないが、全国では55%の世帯がプロパンガスを使用している。
プロパンガスは1立方メートル当たり480円が、関東圏の平均相場だが、料金体系は400種類以上もある。
ちなみに都市ガスは、1立方メートル当たり160円で、プロパンガスより割安になっている。
プロパンガスは、公共料金とは異なりガソリン同様に会社毎に自由に料金を設定できる。
2017年新年特別号の『文藝春秋』で、浜田宏一・元イエール大学教授の「『アベノミクス』私は考え直した」というインタビュー記事が掲載されている。
浜田氏は内閣官房参与として、アベノミクスを描いた中心人物だが、その浜田氏がアベノミクスの過ちを一部指摘したのである。
物価が上がらない理由を、2016年8月に発表されたプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の論文を読んで、自分の考え方の誤りに気付いたという。
量的金融緩和だけではダメで、それと財政政策を組み合わせないといけない事に気づいたという。
浜田氏はインフビュー記事の中で、「ここまで上手く働いた金融政策の手綱を緩めることなく、減税も含めた財政政策で刺激を加えれば、アベノミクスの将来は実に明るい」と締めくくっている。
アベノミクスは、金融緩和+減税をやらねばならなかったのに、金融緩和+消費税増税・所得税増税・相続税増税・社会保険税増税という誤った政策の組み合わせを行ってしまった。
その結果、とてつもない勢いで実質連結債務がゼロに向かい、財政ファイナンスで財政を再建するという、例のない財政・金融政策により、財政破綻を救うという成果を出すことになった。
現在、日本政府が国債を発行して、日本銀行がそれを買い取るる財政ファイナンスが行われている。
日銀が保有する国債には利払いがさなされるが、その利息の大部分は日銀の剰余金として、政府に全額納付されている。
これを通貨発行益と呼ぶ経済学者もいる。
本当は、日銀の剰余金収入は、通貨発行益の運用益であるので、政府はそれを歳入として毎年の予算の中で活用してきている。
日銀が国債を保有し続けている限り、政府は元本返済の必要がないので、日銀が買い取った国債額から印刷代を差し引いた分が通貨発行益となっている。
本来であれば、国債の日銀買取に基づく通貨発行益は税収とともに、政府の歳入として位置づけるべきところを、それをせずに秘密の財源として隠して来た、というのがこれまでの日本財政の歴史である。
歴史を振り返れば、通貨発行益を財源として活用することは、平時には全く問題を起こしていない。
問題になるのは、貨幣供給を増やし過ぎてインフレになってしまう時だけである。
太平洋戦争の際に発行された戦時国債の額は、GDPの8倍であり、現在の金額にすると4000兆円と言う巨額のものだった。
しかし、現在の日本政府が抱えている実質債務はGDPを下回る水準なので、高率のインフを招く可能性は殆どないと言える。
日本で最近まで使われていた政府紙幣は「B円」である。
1945年9月2日、日本が降伏文書に署名した直後に、GHQは日本政府に「三布告」の即時実施を突き付けた。
三布告とは、通貨の発行権と司法権をGHQが握り、公用語を英語にするというものだった。
ポツダム宣言に違反するこの指令は、幸いにも外務官僚の機転と全力の交渉によって実施が見送られたが、米軍の施政下に置かれた沖縄では、米軍による通貨(厳密には軍票)の発行が行われた。
1946年4月15日に、米軍はB円を沖縄の公式通貨と定め、日本円の流通を原則禁止したので、B円は沖縄で使われる唯一の通貨となった。
このB円を使って、米軍は米軍基地の建設や駐留経費を支払った。
つまり米軍はB円の印刷代だけで、沖縄の労働力を使い、物資を調達したのである。
当初は1日本円=1B円だったが、1950年4月には3日本円=1B円へと通貨を切り上げ、米軍のB円高政策によって、沖縄の産業本土への競争力を失い、製造業の空洞化が進んでしまった。
沖縄で10年以上、米軍の財政を支えたB円は1958年9月に米ドルへの交換が行われ、廃止された。
ちなみに、太平洋戦争時代は、日本軍も進駐先各地で軍票を発行して、通貨発行益を手にしている。
日本でも明治維新の時に大規模なヘリコプターマネーを実施している。
明治政府は日本の経済社会を作り替える大改革を支えるために莫大な資金を必要であり、その資金を政府紙幣の発行で賄った。
政府紙幣とは中央銀行ではなく、政府が発行する紙幣であり、発行額から印刷費を除いた全額が通貨発行益として直接政府の手元に残る。
明治政府は1868年に政府紙幣「太政官札」を4800万両も発行した。現在の物価は当時の1万倍に上昇していることから、太政官札で明治政府が得た財政資金は現在の価値で4800億円となる。
しかし太政官札は当初より期限付きの政府紙幣だったので、1872年に同じ政府紙幣である明治通宝を発行し、太政官札の大部分は明治通宝に交換された。
その後1877年に西南戦争が勃発し、戦費調達のために明治通宝を大量発行し、その結果、激しいインフレを起こしている。
そこで明治政府は通貨の安定を図るべく、1882年に日本銀行を設立し、1885年から日本銀行券が発行させ、明治通宝は1899年に運用停止となった。
太平洋戦争の際には、戦費調達のために戦時国債が発行され、それを日本銀行が引き受けたため、通貨の発行量が異常に増え、戦後になって爆発的にインフレが進んだ。
これをきっかけに、戦後の財政法で、日本銀行による国債の直接引き受けが禁止された。
通貨発行益を財政資金として使用する手法は、ヘリコプターマネーと呼ばれている。
政府や中央銀行が、まるでヘリコプターからお金をばらまくように、市中に貨幣を供給することから名付けられた。
ヘリコプターマネーのアイデアは、ノーベル経済学賞受賞者のミルトン・フリードマンが1969年に提唱し、同じくノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンが同様の政策を日本経済に対して提案し、ベン・バーナンキ前FRB議長が導入を推奨するなど、多くの偉大な経済学者が支持をしている。
日本の連結純債務は439兆円であり、日銀が保有する国債は2017年3月末には440兆円程度となっているので、日本政府は実質無借金経営を達成し、財政再建がようやく達成されたことになる。
連結純債務から日銀の国債保有額を差し引くことに違和感を覚えるかもしれないが、国債のうち日銀が保有する分は、返さなくてもよい借金なのでから、それを政府の貸借対照表の資産の部に「通貨発行益」として計上するのである。
日本の財政は通貨発行益を使う仕組みになっていないので、これまでの通貨発行益は、そのまま政府の手元に残っている。
だから全額を資産に計上しても全く問題ないはずである。