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2014年10月7日火曜日

精神科医の冨高辰一郎氏は、著書『うつ病の常識はほんとうか』で「長期的には日本の自殺率は高くなっていない」と主張している。
日本の自殺者数は1900年の1万人から現在の3万人まで、時代毎の増減はあるものの右肩上がりで増えているが、元になる人口そのものも増えているのである。
1900年の日本の人口は4000万人で、現在は1億2000万人と3倍になっている。
また、日本の自殺率の変化を見ると、1950年代のなべ底不況と言われた時代と、1997年以降の平成不況の時期が極端に高いことが分かる。
しかし、1950年代と現在では人口構成が大きく異なるので、これも正しい統計とは言えない。
人口構成による自殺率の変化を調整したのが「標準化自殺率」で、長期的な自殺率の変化を論ずる時に必須とされるが、日本では殆ど知られていない。
統計学的に正しい「標準化自殺率」でデータを見ると、年間3万人の自殺者数はバブル期よりずっと多いものの、戦後の平均的な自殺率とほぼ同じである。
日本の自殺率は長期的には漸減傾向であり、バブル期に特に低くなり、不況と失業の上昇で元に戻っている。
ただ、日本は元々自殺率の極めて高い社会であり、経済的な困難で死を余儀なくされる潜在層が膨大にいるのは確かである。

『うつ病の常識はほんとうか』

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