ノーベル賞経済学者で、日本経済のアドバイザーでもあるポール・クルーグマンは、これまで日本に対して物価目標政策の採用を強く迫ってきていた。
しかし2015年10月に、ニューヨークタイムスに寄稿したエッセイで、自説を撤回している。
日本はあれだけ市場に爆発的な資金供給をしてゼロ金利にしたのに、これほど需要が起こらないとは思わなかった。
日本に関しては全く分からないことだらけだ、と自分の提言をひっくの返す敗北宣言をしてしまった。
日本に関しては全く分からないことだらけだ、と自分の提言をひっくの返す敗北宣言をしてしまった。
ポール・クルーグマンの懺悔日記「日本再考」という記事で、その要点は次の通りであった。
1.日本の量的緩和策(インフレ目標政策)には効果がない
日本の人口動態は、全く望ましくない状況にある。それが特異なスタグネーションを引き起こしている原因でもある。20年間にもわたりインフレ率が非常に低いということ、また、同じ期間において高水準の財政赤字が続いていたこと、そして、未だにインフレの兆候がないことに留意してほしい。日本は自然利子率のマイナスの状態が永遠に続く国に見える。
2.日本は労働人口1人当りのGDPの伸び率で見れば、良好なパフォーマンスを示している
日本は過去25年間の間に緩やかな成長を遂げて来た。しかし、その原因は人口動態にあった。労働人口1人当りのGDPは2000年以降アメリカよりも伸びている。そして、現時点では過去25年間の成長率は同じ程度に見える。そして、ヨーロッパよりも日本のほうが優れている。
3.インフレ目標値はもっと高くすべきであり、それを実現するために思い切った財政出動が必要
財政問題はこれまでのところ深刻な問題を引き起こしていないし、また日本は、もし財政を均衡させた場合に想定される状態よりも明らかに裕福な状態を保ってきている。しかし、財政アガシのリスクが余りにも誇張されすぎていると考える我々でさえも、対GDP債務比率を安定化させ、一定のレベルまで引き下げることが必要だと思う。(インフレの目標は財政再建のため)
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