田中角栄ブームに乗って角栄論が多く出版されているが、最近刊行された角栄論の中では、石井一の『冤罪』が最も優れている。
石井一氏はスタンフォード大学大学院で修士号を取得しており、英語が非常に堪能で、アメリカ側の資料にもあたっている。
この本の結論は、次の箇所となる。
「ロッキード社は民間機だけでなく軍用機を製造し、特にP3Cの日本への売り込みが日米間の某域インバランスをただすための最重要課題だと言われていました。また、金額的にはトライスターよりP3Cの方がはるかに大きかったのですが、P3Cを取り上げるとなると、日米間の防衛汚職として、両国の安全保障体制を揺るがす大スキャンダルに発展する恐れもあり、これらについては一切触れないということになりました。
したがって、陰のフィクサーとして動き、巨額な金員を手にした児玉誉士夫や小佐野賢治に対しても、当時噂されていた中曽根康弘ほか灰色高官とされた13名に対してもP3Cに関しては一切立件せず、焦点を合わせるのは田中とトライスターのみに絞って日米両国が立件に乗り出したのです。
米国の大きな計画がなければ、ここまではできなかったし、日本の総理大臣が三木でなかったら、そこまでの広がりもなかったと思います。いわばキッシンジャーの陰謀と三木の怨念というものの利害が一致し、田中に対しての陰謀が実行されたと言っていいかと思います」
したがって、陰のフィクサーとして動き、巨額な金員を手にした児玉誉士夫や小佐野賢治に対しても、当時噂されていた中曽根康弘ほか灰色高官とされた13名に対してもP3Cに関しては一切立件せず、焦点を合わせるのは田中とトライスターのみに絞って日米両国が立件に乗り出したのです。
米国の大きな計画がなければ、ここまではできなかったし、日本の総理大臣が三木でなかったら、そこまでの広がりもなかったと思います。いわばキッシンジャーの陰謀と三木の怨念というものの利害が一致し、田中に対しての陰謀が実行されたと言っていいかと思います」
つまりロッキード事件とは、本来、旅客機のトライスターではなく、対潜哨戒機のP3Cオライオンを巡る汚職だったのに、その点は伏せて「P3C(中曽根康弘)」を「トライスター(田中角栄)」に入れ替えて立件した事件(冤罪)だった、と書いている。
『冤罪』
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