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2017年2月21日火曜日

精神科医の岡田尊司氏の『マインド・コントロール』は非常に面白い。
岡田氏は東京大学文学部哲学科を中退した後、京都大学医学部に入り直して、精神医学を学び、法務省に入り少年院の監察医をずっとやっていたという。
彼の分析によると、マインド・コントロールの原形は、子供達が集まるスポーツクラブや進学塾にある。
そこで子供をトンネルに入れるみたいに周囲から遮断して、その小さな世界のルールや価値観で支配する。
トンネルの先に見える明かりは試合に勝つ、神学校に合格するということで、そこに向かって脇目もふらずに邁進していく、そんな世界を作るのである。
この方法を取ることで、確かに効率的に能力を伸ばすことはできるかもしれないが、そういう形で思考の鋳型を作られてしまった人というのは弱い。
つまり、その後の人生で、ブラック企業であれ、カルト教団であれ、役所であれ、外界が遮断された所に入れられて、独自の価値観の中で評価されて、出口はここだと、一点を見せられると、比較的簡単に疑問も持たず、その世界に沈入してしまい、マインド・コントロールされやすい。
例えば、学校の成績はあまり振るわないけども、クラブ活動に異常に打ち込む子とか、趣味の分野については非常に詳しい子とかがいる。
便器用とは違う価値基準を作って、自分は意識が高いんだとか、他の子とは違うんだ、良いセンスをもっているんだ、という具合に一種の逃避や合理化をする。
そんなふうに、ある認識の鋳型、ある種の価値体系をかたくなに持っている人がいる。

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