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2014年9月8日月曜日

医学の歴史で非常に重要な事は、外科と内科が歴史的に全く違う世界だったという事である。
投薬などで体の内側から対処するのはヒポクラテス以来の医者の仕事だが、体の外側から外的な処置をするというのは、実は割礼師や理容師の仕事だった。
今でも理髪店の看板は、赤と青がクルクル回るサインポールだが、これは赤は動脈、青は静脈を表しており、中世ヨーロッパでは理容師が外科医を兼ねていた。
現在のように外科医のステータスが高くなったのは、戦争の規模が大きくなり、負傷者が増えたことで、外科技術が発達してからなのである。
よく勘違いされるのは、戦時における医療支援は人道的なものだから構わないというもの。
しかし、これは軍事的な発想からすると全然違う。
医療でケガを治す事で戦闘員として戦場に復帰できる可能性があるので、戦時の医療行為というのは戦闘行為そのものなのである。
『ナイチンゲール伝』を読むと、ナイチンゲールは非常に自己顕示欲と上昇志向が強い人で、彼女はイギリスの軍事作戦を遂行する役割をきっちりと担っていた事が分かる。

ナイティンゲール伝―他一篇 (岩波文庫)

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