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2014年10月29日水曜日

新しい技術が登場した時、その経済的意義が過小評価される事がよくある。
電話が発明された19世紀後半は、電信が急速に発展しつつある時代であり、当時のアメリカでは既に8500の電信局と21万マイルを超える電信線があり、海底ケーブルで全世界が結ばれようとしていた。
電話の特許を取得した翌年の1877年に、発明者のグラハム・ベルと協働出資者は、電話に関する権利を当時アメリカ最大の電信会社だったウエスタンユニオン(WU)に売却しようとしたが、拒否されてしまった。
当時のWUのウイリアム・オートン社長は、「電話はあまりにも欠点が多いので、通信手段として真剣に検討するに値しない。この装置は我々にとって何の価値もない」と言い、ビジネスの可能性は多重電信にこそあると信じていたのである。
仕方なくベル達は1877年にベル電話会社を設立し、やがて電話の重要性に気付いて電話事業に参入したWUとの泥沼の裁判闘争の末、WUは電話ビジネスから撤退することとなり、WUはビジネス史に残る愚かな決定をしたのである。
その後、ベル社は、1900年にAT&Tとなり、その後1世紀にわたって電話産業に君臨し、第二次大戦後には、世界最大で歴史上最大の企業となっていた。
そして歴史は繰り返し、このAT&T自身が、「パケット通信ネットワークは、信頼のおける通信システムではない」と見なし、インターネットに関してWUと同じ過ちを犯すのである。

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