Amazon

2014年10月30日木曜日

日本銀行は2013年4月に異次元金融緩和政策を導入した。
これにより、マネタリーベースは著しく増えたが、マネーストックは殆ど増えなかった為、経済活動には影響は及ばなかった。
この異次元金融緩和の真の目的は「財政ファイナンス」、つまり「国債の貨幣化」であり、金利の高騰を抑え、財政の資金調達を円滑にしたのである。
日銀による国債購入そのものが重要なのであって、教科書的なマネーストックの増加を通じた経済拡大は、初めから政策当局の頭にはないと思われる。
財政ファイナンスは以前から実施されてきており、2009年12月から3013年12月までの1年間に、国債残高は148.3兆円増えたが、預金取扱機関(銀行)の国債保有残高は16.1兆円しか増えなかった。
つまり、日銀が国債保有残高を93.4兆円増加させており、もし日銀が国債を購入していなければ、金利は上昇していたはずである。
日銀の国債保有残高は2013年3月から12月までの期間で、49.7兆円増加しており、この間の国債残高の増加額は19.5兆円だから、それを30兆円も上回る購入を行ったのである。
他方、預金取扱機関の国債残高は2013年3月をピークに減少しており、2013年3月から12月までに27兆円減少した。
全体として国債残高は増加している事を考えると、異常な現象となっている。
このため、巨額の公共投資を行ったにもかかわらず、国債利回りは高騰していない。
日本の財政事情からすると本来ならば、現在のような低金利で財政が資金調達できるはずはなく、明らかに「国債バブル」なのである。
本来ならば、金利が高騰(国債価格が暴落)して、支出削減や増税ほせざるを得ない状況に追い込まれているはずなのである。
この状態は2つの意味で異常な状態となっている。
1.物価上昇率が名目金利を上回り、その結果、実質金利がマイナスになっている。
この状況下では、借入をして財を購入し、一定期間保有して売却すれば、借入の金利を払っても利益が生じるので、裁定取引によって金利が上昇して解消されるはずの状態である。
この状態は異常であり、長続きはしない。
2.負担なしの財政支出が継続しているので、他の支出は何も削減されないまま、社会保障給付が増大している。

0 件のコメント:

コメントを投稿