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2014年12月16日火曜日

世界中で極めて例外的な立法例として、日本の著作権法では会社が著作者として著作者人格権を持つ事を認めている「職務著作制度」がある。
これは、おそらく日本の会社文化を反映したものである。
著作権法2.条1項には、著作者とは「著作物(思想または感情を創作的に表現したもの)を創作する者」をいうと定義づけている。
思想・感情は生身の人間(自然人)のみの属性であり、この定義からは法人が著作者となることは有り得ない。
しかし、著作権法は15条1項に「職務著作」の規定を置き、「法人その他使用者の発意に基づき、その法人等の業務に従事する者が、職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする」と定めている。
使用者である法人自らが著作者となり、従業員には著作者人格権のみならず著作権も報酬請求権も与えないという、日本特有のこの「職務著作制度」が、マスコミ経営者にとって、現場で働く新聞記者、テレビディレクターなどの知的労働者を完全支配する最善の方法なのである。
ちなみに、近年の日本の判例では、社外業務において職務著作が成立する場合を、使用者と社外の事業者との間に当該事業を共同事業とするような契約関係が存在する事例や、使用者が業務命令で従業員を当該事業の担当者に任命している事例等に限定しており、従業員の企業外での言論・表現の自由を保障しようとしている。

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