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2015年2月1日日曜日

グローバリゼーションによって、金融経済が全面化してしまった1995年以降の世界では、マネー・スットックを増やしても国内の物価上昇につながらず、マネタリスト的な金融政策の有効性は1995年で切れてしまっている。
金融緩和の有効性を主張するマネタリストは、貨幣数量説(インフレは貨幣現象である)に基づいている。
貨幣数量説とは、貨幣の流通速度がたょうき的には一定のもと、「貨幣の数量が物価水準を決定する」という理論であり、数式で表現するとMv=PTとなる。
Mは貨幣数量、vは貨幣流通速度、Pは物価水準、Tは取引量。
つまり、貨幣数量(M)を増やせば、取引量(T)が増えるか、物価水準(P)が上昇するというのである。
しかし、貨幣流通速度(v)が一定であるという前提が、低金利下では崩れており、アメリカ国内の貨幣流通速度は落ちている。
つまり、貨幣数量(M)を増やしても、数式の右側に大きな変化は起きない。
貨幣数量説は、国民国家という閉じた経済の枠組みでしか成立しない。
さらには、取引量(T)の中には、実物経済での取引高だけではなく、金融市場での株や不動産の売買取引が含まれている。
実際に、実物経済の需要が縮小しているアメリカでは、株価の上昇があっただけで、ガソリン代、電気代、食糧費を除く物価水準には目立った変化はない。
皮肉なことに、マルタリストが金融のグローバル化を進めて来た結果、自ら「インフレは貨幣現象である」というテーゼを成り立たなくしてしまった。

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