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2017年11月7日火曜日

鎌田慧氏の『自動車絶望工場』は、今で言う非正規労働の現場をルポルタージュした世界てせも先駆的な名著である。
この本の原題は『トヨタ絶望工場』だったが、出版直前に横槍が入り、土壇場でトヨタの名前が消されたという。
その英訳版が出版されるに当り、イギリスの社会学者のロナルド・ドーアへ序文が依頼された。
するとドーアは、トヨタのヨーロッパ支社に電話して、『自動車絶望工場』に書かれている悲惨な状況が今どうなっているのかと質問したという。
そうしたら、ヨーロッパ支社の上層部が飛んできて、そんなどこの馬の骨か分からない人が書いた本に、ドーアさんのような碩学が本当に序文を書くのかと言ったという。
ドーアの面白いところは、そのいきさつを全て序文に記載してしまい、英訳版は序文だけで、凄い厚みになったという。
欧州の知識人は、巨大な相手に怯まない面がある。

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