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2017年11月25日土曜日

2016年12月14日に、改正国民年金法が成立し、2018年度から物価下落時には適用されないマクロ経済スライドが繰越され、物価上昇時にまとめて適用されることになった。
マクロ経済スライドとは、現役世代が減り年金受給者が増えることによる年金財政の悪化を、年金給付水準を引き下げることで調整しようとするもので、2004年の年金制度改正で導入された。
年金水準の削減は、毎年1%程度だが、これまでマクロ経済スライドが発動されたのは、2015年度に一度だけであり、他の年はデフレが続いたため、見送られてきた。
しかし、この法案の成立により、デフレ下で見送られてきたマクロ経済スライドは累積され、物価上昇率がプラスになった時に、一気に発動されることとなる。
例えば3年間マクロ経済スライドが見送られたとして、その次の年に物価・賃金が3%上昇したとすると、マクロ経済スライドが3%分発動され、本来3%年金が改善されるはずが、年金の改善はゼロとなり、実質3%の削減となる。
この制度の導入により、今後は平均すると毎年1%ずつ確実に実質年金は下がっていく。
厚生労働省は、2014年6月に、年金制度の財政検証の結果を発表している。
そこでは、経済成長率の前提が異なる8パターンの将来推計が占められているが、うち5つのケースで将来的に厚生年金の書拓代替率50%が維持できるとされている。
つまり、厚生年金の保険料をしっかりと納めていれば、現役世代の手取り収入の50%の年金を保証できるとしたのである。
さらに、この5つのパターンに共通する前提は、「労働市場への参加が進む」という事である。
例えば65歳~69歳男性の労働力率は、現状49%だが、参加が進むケースでは67%と、3分の2の高齢者が働く前提となっている。
一方で、高齢者の労働力率が現状と変わらないケースでは、所得代替率は現状の62.3%から最悪35~37%まで低下し、年金が実質的に44%もカットされる事を意味する。
現在の年金制度を続けていれば、確実に年金は半額に向かって減っていく。
もしそれがイヤならば70歳まで働いて、年金保険料を払い続けねばならない社会が目の前に来ている。

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