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2015年5月31日日曜日

『資本論』には色々な日本語訳がある。
注を省き、全体を通して3巻まできちんと読める、読みやすい訳は中央公論新社の「世界の名著」に入っている鈴木鴻一郎責任編集(中公バックス『世界の名著54 マルクス エンゲルスⅠ』『55 マルクス エンゲルスⅡ』)である。
現代思想への目配りがあるのは筑摩書房の「マルクス・コレクション」の今村仁司・三島憲一・鈴木直訳(『資本論第一巻(上・下)』)である。
最近の思想が好きな人には良い。ただ2巻、3巻が無いので、その部分は別の約で読まなければならない。
構造が循環しているので、本当は2巻、3巻を訳さないと1巻も訳せない。
共産党系と相性がいい人は、新日本出版版(社会科学研究所監修、資本論翻訳委員会訳『資本論』)もよい。新書判で字も比較的大きい。
定番としては、岩波文庫の向坂逸郎訳と、国民文庫の岡崎次郎訳(大月書店)。
実はこの二つは訳がとても似ている。というのは、岡崎次郎は向坂逸郎の下訳をやらされていたからである。
殆どお金を払ってくけなかったと岡崎氏はぼやいていたという。
他にも長谷部文雄訳というのがあり、これは戦後に出たマルクス主義者が訳した一番最初の訳で、直訳的なのでドイツ語と突き合わせて読むのに非常に便利である。
国家社会主義者の高畠素之が訳した日本最初の訳で、文学的センスのある名訳がある。この人は『資本論』を訳しているうちに『資本論』は正しいけれどもマルクス主義は間違っていると思うようになり、国家社会主義者になった。

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