高倉健が出演している名画の中でニュー東映が制作した「二・二六事件 脱出」(1962年)の原作となった小坂慶助の『特高 二・二六事件秘史』は、憲兵隊の内部資料を読みやすく書き直したものと思われる当事者手記である。
著者の小坂氏は、当時、麹町憲兵分隊の特高主任(班長)で、岡田啓介総理の救出を指揮した人物である。
本書を読むと憲兵隊にとって二・二六事件が晴天の霹靂ではなかった事が伝わってくる。
規模はともかく、皇道派将校が「何かやるな」とという感触をつかんでいたのである。
具体的な情報も小坂氏は得ていた。
「2月19日の朝、栗原中尉一派が18日の夜、赤坂の某鳥料理屋に密かに会合して、25日頃を期して重臣襲撃を決行する、という情報を三菱本館秘書課から知らせて来た。
当時、三井、三菱の情報網は完璧に使い程に、洗練されていた組織を持っていた。金の力に物をいわせ、政党、諸官庁、新聞通信社、待合、料理屋を始めとして、左右両翼団体から浪人、市井のいわゆるゴロに至るまで、息のかかっていない処とてない」と書かれている。
当時、三井、三菱をはじめとする財閥は右翼によるテロの標的とされており、財閥は身を守るために徹底して情報を集めていた。
財閥は暴力装置は持っていないので、特高憲兵は財閥経由でかなり高度な情報を入手していたのであろう。
『特高 二・二六事件秘史』
著者の小坂氏は、当時、麹町憲兵分隊の特高主任(班長)で、岡田啓介総理の救出を指揮した人物である。
本書を読むと憲兵隊にとって二・二六事件が晴天の霹靂ではなかった事が伝わってくる。
規模はともかく、皇道派将校が「何かやるな」とという感触をつかんでいたのである。
具体的な情報も小坂氏は得ていた。
「2月19日の朝、栗原中尉一派が18日の夜、赤坂の某鳥料理屋に密かに会合して、25日頃を期して重臣襲撃を決行する、という情報を三菱本館秘書課から知らせて来た。
当時、三井、三菱の情報網は完璧に使い程に、洗練されていた組織を持っていた。金の力に物をいわせ、政党、諸官庁、新聞通信社、待合、料理屋を始めとして、左右両翼団体から浪人、市井のいわゆるゴロに至るまで、息のかかっていない処とてない」と書かれている。
当時、三井、三菱をはじめとする財閥は右翼によるテロの標的とされており、財閥は身を守るために徹底して情報を集めていた。
財閥は暴力装置は持っていないので、特高憲兵は財閥経由でかなり高度な情報を入手していたのであろう。
『特高 二・二六事件秘史』
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