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2017年3月11日土曜日

現在の日本の「知」は新自由主義的である。
この状況は、ベストセラーになって映画化された「ビリギャル」に、よく表れている。
小学校4年生くらいの学力しかなかったビリギャルのさやかちゃんが成功した要因は、私立の中高一貫校に通っていたのと、お金に余裕がある家庭環境だったことが挙げられる。
さやかちゃんが通っていた塾の授業料は、一括納入で百数十万円もする。
塾だけではなく、私立高校の学費もあるので、年間で200万円近いお金を用意できる経済力がないと、ビルギャルは成功しない。
そして、さやかちやんの母親は、受験勉強で授業中に寝ていて学校に呼び出された時に、「学校しか寝る場所がないんです。寝かせてください」とモンスターペアレントのような振る舞いで抗弁して譲らなかった。
この母親のおかげで、塾の勉強に特化できる環境ができた。
公立高校だったら、まず無理である。
つまり、これは新自由主義時代の受験産業の物語なのである。
小学校4年生ぐらいの学力しかなくても、お母さんがモンスターでも許容する私立学校に通わせ、塾に行かせられるお金の余裕があったからこそ、私立大学の名門である慶應に行くチャンスが生まれた。
しかし、本人にとって必ずしもハッピーとは思えない。
「大学で学ぶ」ではなく、「大学に受かる」ことが目的だからである。
統計学も経済学も何一つ理解できず、入学歴だけで高等教育の知識を何も身に着けられず、卒業することになってしまうリスクがある。

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