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2015年12月21日月曜日

木綿は身近なものなので一番古くから衣類に使われているような先入観を持ってしまうが、実は木綿は衣類の天然素材としては、最も新しい部類に属する。
弥生時代、平安時代、鎌倉時代にも日本には木綿はなかったので、当時は麻や絹といった別の素材の衣類を着ていたのである。
木綿が伝わる以前は、「綿」という言葉は、生糸にならなかったクズ繭をほぐした真綿だった。
真綿は蚕から生まれる動物性の繊維で、木綿とは全く別系統のものになる。
植物の木綿は元々は中米を原産地としてい、アジアのインダス文明やインド近辺では8世紀に栽培がおこなわれるようになった。
交易により綿布もヨーロッパに伝わったが、植物としての木綿そのものの知識がヨーロッパ全土に広がったのは14世紀の中世くらいだった。
綿花がイメージできないヨーロッパの人々は「小さな羊が実る木」を創造したと言われている。
木綿栽培が中国に伝わったのが10世紀、朝鮮半島には14世紀に伝わり、日本には15世紀以降の日朝貿易でもたらされた。
当時の木綿の用途は甲冑の下に着用する兵衣が挙げられ、吸水性と通気性、肌触りに優れる木綿は最適だった。
次にトートバックの素材として知られる船の帆布で、木綿には縮んで布の目が詰まるという特徴を強みにして、風を通しにくい帆を実現できた。
それまでは藁で編んだムシロや麻布が利用されていたが、目が粗いため風が抜けてしまい、推進力を得にくかった。
戦国時代になると木綿の用途が増えていくのに対して、大陸との貿易が衰退し、木綿の輸入が減少しいてき、日本でも木綿の栽培が始まることとなった。

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