Amazon

2018年2月5日月曜日

退却を事実上許さないという日本陸軍のやり方は、「生きて虜囚の辱めを受けず」という先陣訓によりイデオロギー操作で強制された。
しかし、日本軍人が降伏をしないというのはウソだということに、戦争の途中でアメリカは気づいた。
戦争の途中まではアメリカ軍は日本兵を殆ど殺しているが、途中で日本兵、特に将校は捕らえたらよくしゃべることに気付いた。
日本軍人は捕虜になることが無いという前提なので、捕虜になった時のマニュアルが無かったのである。
国際法では、捕虜になった場合、捕虜は自分の氏名と階級、生年月日と所属部隊の認識番号と個人番号のみ言えばよく、拷問で様々な事を聞き出したりすると戦時国際法違反となる。
日本軍人は、日本側に自分が捕虜になったことを通報しないという自分の願いが受け入れられれば、いくらでもペラペラ喋ることに米軍の情報部は関心を持ったという。
そこで作られたのが、アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトを中心とするチームだった。
ルース・ベネディクトは社会学者ではあったが、日本の専門家てはなかった。
日本人が何故こういうふうにして投降するのか、日本人をどんどん投降させて喋らせるにはどうすれば良いかという調査をした結果生まれたのが、日本人観の古典ともいえる『菊と刀』である。
ルース・ベネディクトは日本の軍記物、戦記物など、戦国時代の研究を中心に行った結果、日本人はよく寝返るし、降伏するということが分かった。殿様は自分が切腹すれば家臣が助かるという場合には城を明け渡すといった事例を研究し、日本人に埋め込まれた文化はそう簡単には変わらないという結論に至った。
アメリカは日本研究とは別のチームを作り沖縄研究も行っている。
沖縄の占領に向けて、特別の人類学調査を行い「民事ハンドブック」いう報告をまとめている。
これは沖縄県が翻訳して、沖縄県史の資料編として入っている。
長年の差別政策に対して沖縄人は不満を持っているが、劣等感は持っていない。この点に日本本土は気づいていないので、日本との分断はそれほど難しくないという観点から沖縄統治をおこなうべきというのが「民事ハンドブック」の基本的な内容である。
だから戦後政策の中でアメリカはある時期まで、対日離反政策をとり、いわば沖縄のアイデンティティーを強化する政策をとっている。この時に刷り込まれた遺産が、実は21正規になって芽を吹いてきているという面もある。

0 件のコメント:

コメントを投稿