Amazon

2015年5月15日金曜日

日本では奴隷解放を宣言した人道主義者という印象が強い、米国第16代大統領のエイブラハム・リンカーンには、南北戦争で大統領でありながら軍隊の最高指揮官というもう一つの顔があった。
南北戦争を早期に終結させて合衆国の統一を維持するという政治目的を実現するために、苛烈な作戦を推し進めた。
ナポレオン以来の軍隊同士が会戦の場で決着をつけるという戦争の常識を覆して、南部の一般市民、女性や子供、老人を攻撃目標に加え、後に第一次世界大戦で展開された総力戦を先取りした。
その結果、多くの非戦闘員が犠牲になり、今でもアメリカ最多の戦死者が出たのが南北戦争である。
リンカーンの奴隷解放宣言は、明らかにフランスに向けてのメッセージであり、北軍の大義を打ち出すことで、イギリスの干渉を防ぐことに成功している。
アメリカではリンカーンは最も偉大な大統領の一人されている。
彼は残酷な作戦であっても、アメリカ史の大きな流れの中では、いずれ許されるというビジョンを持っていた。
こうした歴史の予見能力もリーダーの資質の一つと言える。

0 件のコメント:

コメントを投稿