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2015年5月15日金曜日

日本語の「教養」という言葉は、19世紀末から20世紀初頭に使われ始めた比較的新しい言葉である。
この言葉に最も近い外国語は、ビルドゥング(Bildung)というドイツ語で、単なる知識の集積ではなく、「知的能力を開発し、生成していく」という時間的な要素が含まれる概念である。
あるいはドイツ語のクルトゥール(Kultur)という言葉も近く、これは英語のカルチャーに当たる言葉で、ラテン語のコレーレ(colere=耕す)という言葉に由来している。
教養とは「耕す」ことによって生成する知のあり方なのである。
中世神学の世界には「総合知に対立する博識」という格言があり、断片的な俊樹を積み重ねたところで、単なる博識にすぎず、総合的な知、つまり「教養」にはらない。
断片的な知識をつなげて体系的な「物語」にする能力が必要なのである。

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