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2016年1月26日火曜日

近代教育の始まりを考えると、「帝国」の存在と密接に関わってくる。
例えば大英帝国は、植民地経営のための優秀な官僚を育成するつめに、現地に高等教育機関を設立した。
バクダッド大学やハルツーム大学は、そのようにして設立されたものである。
これに対して、フランスでは現地の優秀な人材をフランス本国に呼び寄せて、本国の大学で教育をした。
この結果、今日においてイギリスに統治された国には大学があり、フランスに統治された国には、優秀な人材はいても良い大学はない。
ちなみに植民地統治に関して、最も酷かったのはポルトガルで、人材育成もインフラ整備も何もやっていない。
日本もイギリスに見習い、台湾に台北帝国大学、ソウルに京城帝国大学を作り、上海には東亜同文書院、満州には満州帝国大学、ハルビン学院を設立した。
しかし、沖縄に対してはフランス式を採用し、高等教育機関を作らなかった。大学だけでなく、高校さえも作らなかった。
師範学校を専門学校に昇格させているが戦争末期のことである。
これに対して、アメリカは沖縄統治に当たって教育を重視し、戦後すぐに英語学校を設置し、ミシガン州立大学から顧問団を招聘し、琉球大学を創設する。
沖縄のエリート層がアメリカに対して好意的なのは、日本が高等教育機関を作らなかったのに対して、アメリカは占領初期から沖縄のエリート養成を考えたことが大きい。
優秀な沖縄の学生をミシガン大学に留学させ、沖縄のエリートを育てたのである。大田昌秀元知事はアメリカ留学世代である。
現在は地場エリートは、沖縄県内の大学で再生産されていく構造になっており、沖縄県庁職員の半数は琉球大学出身で、県内の大学出身者を含めると、かなりの割合に達する。

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