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2016年4月1日金曜日

企業の社員教育に大きな影響を与えて来た「修養団」という教化団体がある。
明治39(1906)年に蓮沼門三が始めた。
蓮沼は、会津の出身で、東京府師範学校(現在の東京学芸大学)在学時代に修養団を結成した。
きっかけは、学寮があまりにも汚いので一人で清掃活動を始め、その精神に啓発されて同志が集まったものとされる。
「愛なき社会は暗黒なり、汗なき社会は堕落なり」を信条として勤倹や自己鍛錬を説き、「愛と汗」の実践の中で自己の向上を目指すという社会教育団体である。
大正時代に各地に支部が増え、1930年時点で団員は60万人を超えていたと記している資料もある。
敗戦後、啓蒙性の高い思想教育団体は軒並み、GHQによって解散させられたが、修養団と二宮尊徳を仰ぐ二宮尊徳報徳会は存続が許された。
歴代の後援会長をみると、修養団が戦後も財界人からバックアップを受けていた事が理解できる。
初代 渋沢栄一(第一銀行頭取)
二代 小倉正恆(住友財閥総理事)
三代 倉田主税(日立製作所会長)
四代 中安閑一(宇部興産社長)
五代 駒井健一郎(日立製作所相談役)
六代 大槻文平(日本経営者団体連盟会長)
七代 草場敏郎(さくら銀行相談役)
八代 藤村正哉(三菱マテリアル名誉顧問)
この他、松下幸之助、土光敏夫、安岡正篤らも顧問を務めている。
修養団の本部は東京・千駄ヶ谷にあるが、伊勢に道場があり、新入社員はそこに送られ「みそぎ研修」(現在は「みがく講習会」)という水行を受けさせられる。
修養団の講師は「この研修の目的は、こざかしい理屈を捨て、バカになって物事に挑むきっかけをつかませること」という。
つまり、会社のためなら何でもできるという精神を植え付けるための研修なのである。

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