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2016年8月3日水曜日

安保法制は、11本の法律を改正または新設したものをまとめた呼び方である。法律を作るという事は、法律を作らないとできないことをしようとするからで、法律事項は大きく4つにまとめられる。
第1に、自衛隊の派遣の拡大である。
従来、日本周辺に限っていた米軍の軍事行動への後方支援を世界規模で拡大する部分と、自衛隊法を改正して平時からの米艦防護や集団的自衛権による防衛出動がきるようにする共同作戦の部分がある。
平時からの米艦防護は、従来は集団的自衛権の問題として認識されていのにもかかわらず、警察的な武器使用権限という形で、何食わぬ顔で入れられている。
第一次安倍政権でも、今回の安倍政権でも安保法制懇の報告書では、これらは集団的自衛権の一部とされていたのにである。
自衛隊自身が武器で防護するのは、警察的な行動ではあるが、公海上でアメリカの軍艦を防護するとなると戦争に巻き込まれる可能性が高い状況下となるが、それを現場の判断でやれるようにしたのである。
後方支援にしても、弾薬切れとなった他国の前線部隊に弾薬を補給することまで、条文上はできるようになった。
第2に、自衛隊の武器使用権限の拡大である。
従来は、自衛隊の武器使用は自身の身を守るためにやむを得ない時に限定されていたが、治安維持や駆け付け警護をやる上で任務遂行型の武器使用が可能となった。
隊員のリスクについて、法案審議の時の政府答弁は、リスクがあっても訓練で極限するとの事だった。
つまり市街戦での戦場のリアルをイメージできない人達が法律を作っているのである。
さらに、これは国家の意志による戦闘ではなく、あくまでも自衛官個人の意思による武器使用となるのである。
海外で国家の意志で武器を使えば、憲法9条が禁止する武力行使になってしまうので、個人に武力行使の権限を与える建前にならざるを得ない。国の命令で戦場に派遣されて、国が作った法律に従って武器を使うが、その結果は個人の刑事責任として追及されるのである。
現在の憲法が想定していない、憲法上やってはいけないことをやろうとするから、こうなってしまうのである。
第3に、米国への後方支援内容の拡大である。
自衛隊が所有する物品や役務を外国に無償で提供する事は、会計法の原則に反する行為とるので、法律によって無償提供を認めねばならない。
従来よりも拡大したのは、武器・弾薬を提供できるようにし、さらに発進準備中の戦闘機に対する給油ができるようになった事である。
これらは従来、米軍のニーズがないと言われてきた部分であるにもかかわらず、急にニーズが出て来たというのも立法事実として有り得ない。
従来までは、このような事をすれば、米軍の武力行使と一体化してしまう恐れがあるというのが内閣法制局の見解だったので、これまでニーズが無かったと説明したのである。
第4に、殆ど国会で議論されなかったが、自衛隊員に対する罰則の拡大である。
防衛出動命令を受けた自衛隊員が正当な理由なしに職務を離脱した場合には7年以下の懲役という罰則が今でもあるが、安保法制ではその罰則を海外でも適用すると書かれている。
つまり、これは海外で防衛出動するということであり、海外派兵を想定しているということなのである。
何故このように条文が必要になるのか、明らかに憲法違反なのである。

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