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2017年3月28日火曜日

「人権」の反対語は、「独裁」とか「抑制」ではなく、「神権」である。
エジプトで民主的な選挙の結果、イスラム主義の組織であるムスリム同胞団に支持が集まったかを理解する上で、「人権」と「神権」の違いを押さえておく必要がある。
中世ヨーロッパでは神が全権を持っているという考え方が社会を覆っていたが、近代以降になると啓蒙思想が広まり、「人権の思想」へ転換していく。
「人権の思想」は近代ヨーロッパの勢力拡大とともに、世界中に拡散していき、その結果、人民の代表を選挙によって選出する代議制民主主義が定着していく。
人権の思想は、シスラム世界にも浸透し、トルコ、イラン、シンドネシア、パキスタンでも民主主義という形式が取り入れられている。
しかし、アラブ世界だけは人権から神権への転換が起こらなかった。
だから現在でも神権が中心であり、人間が自己統括する余地はない。
そういった状況で、民主的な選挙を導入すると、民衆は進言を否定して神権を支持するムスリム同胞団に投票してしまう。
結果、民主的な選挙を通じて、民主主義を否定する政権が誕生してしまうのである。

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