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2015年5月30日土曜日

モスクワ大学の経済学部には、「資本主義経済学」と「社会主義経済学」という2つの学科がある。
不思議な事に、資本主義経済学科はマルクス経済学なのである。
要するに資本主義は矛盾をはらんでいるから、それは崩壊するものなんだという、スターリン主義的な経済学である。
生産力と生産関係の矛盾で、生産力がこれだけ増えてくると、そこから過剰生産による恐慌が起きて、豊富に物がある中での貧乏が起きる。それに対して労働者が怒って爆発して革命が起きるという考え方である。
資本主義経済学科で学んだ連中は、地方大学の教員になり、『資本論』を教える。
一方、社会主義経済学科は、新古典派総合で、エリートになる連中が通っている。
サミュエルソンをベースにしていて、そのうちシカゴ学派が強くなってきた。
既に生産力の私有が無くなった社会において、ブルジョワ経済学を弁証法的に社会主義経済を建設するために活用するという立場で、完全に近代経済学である。
これを勉強した連中がゴスプラン(国家計画委員会)とかゴススナブ(国家供給委員会)に行くのである。
ソ連が崩壊してすぐに、シカゴ学派の新自由主義的な経済政策に転換できたのは、ソビエト時代に崩壊する40年前から、計画経済と言いながら、実際には新古典派総合でモデルを立てていたからである。

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