Amazon

2015年6月19日金曜日

なぜr>gが格差拡大ほ引き起こすのか、ピケティの理論の概念を整理しておく。
資本収益率rとは、資本から得た所得の比率、つまり所有している資本から、どれだけの所得を得たかということである。
これに対するGDP成長率gとは、言い換えれば所得成長率、つまり全国民の所得が前年からどれくらい増えているかというこどある。
GDP成長率とは定義上、所得成長率と同じだが、これには資本から得た所得も労働から得た所得も含まれる。
割合としては労働所得が7割、資本所得が3割程度なので、GDP成長率は労働所得の伸び率と大差はないと理解してもよい。
つまり、gは労働所得の伸び率を表す指標として使用されている。
一方、資本収益率rは資本所得の伸び率を表す指標として使用されている。
GDP成長率のうち、どれくらいが資本所得かというのは分からないが、資本収益率の増減は、資本所得の増減を表すからである。
尚、資本には公的資本も含まれるが、民間資本が占める割合の方が圧倒的に多いので、ここでいう資本所得とは民間資本の所得と理解してよい。
本来ならば、GDPを資本所得と労働所得に分けて、それぞれの伸び率を比較するのが一番わかりやすいが、そのようなデータは取れないので、gを労働所得の伸び率、資本収益率rを資本所得の伸び率と見なしているのである。
資本収益とは、資本家のものであり、一部のトップ層のものとなる。
従って資本収益率rの方がGDP成長率gより大きくなるほど、トップ層はより豊になり、ボトム層はより貧しくなる、という図式となり、格差拡大となるのである。
「格差拡大」という多くの人が何となく感じていたこと、経済学者の間では既に共通認識だったことを、ピケティは膨大なデータを整理することで、明らかにしたのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿