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2015年6月19日金曜日

精神分析のフロイトが最後に書い『モーセと一神教』という本がある。
精神分析の権威が、なぜ宗教の本を書いたのか不思議に思うが、フロイトはユダヤ人であり、ユダヤ教を開始したのはモーセだからである。
この本では心理学的、社会学的、歴史学的に仮説を立てて、論理的に分析しており、仮説とは何かという点を学べる本である。
フロイトはこの本で、「モーセはユダヤ人ではなくエジプト人だ」というとてつもない仮説を立てた。
旧約聖書の「出エジプト記」は、モーセがユダヤ人を連れてエジプトを脱出する物語だが、なぜエジプトに住み続けられなかったかというと、一神教を信じたからである。
エジプトはアニミズム信仰であり、一神教とは相容れなかった。
しかしアメンヘテプ4世という王が水頭症にかかり、幻覚をみることで一神教に目覚め、首都をアマルナという地方に移した事に端を発する。
そのアマルナにはユダヤ人が大勢住んでいて、アテン神という唯一清を信仰するようになったアメンヘテプ4世が一神教の教えを広めた。。。。
というように、仮説が仮説を生み、話がどんどん展開されていく。
つまり、アメンヘテプ4世が水頭症でなかったら、ユダヤ教は生まれず、キリスト教も生まれず、イスラム教も生まれなかった、と一神教が地球上に存在しなかったかもしれないという歴史の根幹を揺るがす仮説なのである。
戦争の9割は一神教対多神教、または一神教対一神教であり、多神教同士の戦争は殆どない。
一神教が誕生しなかったら世界はどうなっていたのだろうか。

モーセと一神教 (ちくま学芸文庫)

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