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2016年9月9日金曜日

明治憲法の解釈をめぐる憲法学説に、憲法学者の美濃部達吉が提唱した「天皇機関説」、別名を国家法人説がある。
国家法人説は、もともとドイツで唱えられ、国民主権説に対抗する保守的な色彩の強い法理論とみなされていた。
しかし、天皇機関説は、憲法第4条にある「統治権」を、法人としての国家に属するものだと考え、この前提を根拠として、天皇を国家の最高機関に位置付ける。
つまり、国家の最高機関たる天皇は、憲法の条規に従い「統治権」を行使していくことになる。
天皇機関説に対抗する学説に、上杉慎吾らが提唱した「天皇主権説」があるが、両者の相違点は、天皇の権力を憲法の制約を受けるものとみなすか、それとも絶対無制限のものとするか、という点にある。
大正時代には、美濃部は上杉らとの論争にほぼ勝利を収め、世界における第一人者の地位を確立した。

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