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2014年6月21日土曜日

マルクス自身によって書かれている『資本論』は第1巻までで、第2巻と第3巻は、手稿のままの乱暴な筆跡なので、普通の人には読めないようなマルクスの草稿を基に、エンゲルスによってまとめられた。

第1巻「資本の生産過程」は、初版(1867年)に対し、第2版(1872~1873年)、フランス語版(1872~1875年)で、マルクス自身が、重要な手直しをして、概念、論理が整理・発展している。

これに対して、第2巻「資本の流通過程」は、第1巻初版の前に書かれたマルクスの未完成原稿(第Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ稿)と、1870年代に書かれたマルクスの未完成原稿(第Ⅱ、Ⅴ~Ⅷ稿)をエンゲルスが編集して出版したものである。

第3巻「資本主義的生産の総過程」は、第1巻初版を書き上げる前、1863~1865年の間にマルクスが書いた未完成の原稿をエンゲルスが苦労して編集し、1894年に出版したもので、未整理で完成していなかった。
特に、第5編「利子と企業者利得とへの利潤の分割。利子付資本」に関しては、信用制度を論じている後半部分は、資料引用を主としたラフな草稿だった。
エンゲルスが、マルクスの意図を踏まえて、重要な書き加えを行い、第3巻を編集刊行した。
その為、第3巻は概念も論理も未完成で、第1巻・第2巻に比べて完成度が低い。

今は、マルクスのオリジナルのノートによる『メガ(MEGA)』版が出ている。
『メガ』とは、マルクス・エンゲルス・ゲザトムアウスガーペ(Marx Engels Gesamtausgabe)という完全版マルクス・エンゲルス全集である。
ソ連と東ドイツの共産党中央委員会付属のマルクス・エンゲルス主義研究所が、全体で100巻になる計画で発行されていたが、ソ連の崩壊後は、国際委員会がアムステルダムの社会史国際研究所で、編纂を引き継いでいる。

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