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2018年2月10日土曜日

北方領土への入域手続きの実態は興味深い。
北方四島は日本からると日本領という立場だが、日本の実効支配はなされていないので、ロシアからするとロシア領であるという考えとなる。
日本領という建て前がある以上、北方四島には日本のパスポートを持っていくことはできない。
しかしロシアは入国のたびにビザを要求してくる。
ビザの発行は明示的に北方四島がロシアの管轄であると認めることになるので、日本側はビザを取得しない。
そこでA4判の厚紙で写真を貼って身分証明書を作り、そこにはパスポートと同じ事項の名前と生年月日、身長が記載されている。
これとは別にA4の挿入紙がビザの役割を果たす。
この書類で、日本側として出入国ではなく、北方四島とい地域への入域と出域の際に特別の手続きをしているという立場に立つ。
一方で、ロシア側では連邦保安庁(秘密警察)傘下の国境警備隊が出てきて、ロシア法に従って出入国手続きをしている。
このような詳細な決め事を詰めて、ビザなし交流が1991年に合意され、1992年から始まっている。
ところが、途中で大問題が発生し、ロシア側から税関申告書で金目の物と所持金を申告するよう言ってきた。
日本は税関申告書を提出するなどというロシアの主権行為に服する分けにいかないが円滑に四島の訪問を実現するために「携帯品リスト」を自発的にロシア側に提出する事となた。
この携帯品リストは、偶然にもロシアの税関申告書と全く同じ書式となっている。
日本語では「携帯品リスト」と書かれているが、ロシア語では『税関申告書」と書かれている。
それを持っていき、国後島の沖合で必ず入域手続きとる。
ロシア国境警備隊と税関職員と外務省の係官と通訳だけで、閉ざされた部屋で手続きが行われる。
携帯品リストには「行き先 国名」と書いているので、択捉とか色丹と島の名前を書くが、ロシア側からは「国名が書かれていないから国名を書け」と言われ、日本側から「もし仮にここにあなたが主張するところのロシアいう名称を書かない場合、入域を認めないのか」と聞くと、ロシア側は「認めない」と言う。
仕方ないので外務省の係官は、入域団員全員のところに「ロシア」と書くとになるので、このやり取りを見せたくないので、密室でやるのである。
そして、それと同時にディスクレーマーという文書を渡す。
ただ今行った行為は日本国政府の立場に何らかの影響を与えるものではないという紙を渡すのである。
このような泥臭いことを日本側とロシア側の現場の担当者間で行い、北方四島へのビザなし交流が行われているである。

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