欠陥エアバッグのリコール問題で2017年6月に民事再生法の適用を申請したタカタの国内外15社の負債総額は3820億円だったが、ここには国自動車メーカーがタカタに代わって負担したリコール費用は含まれていない。
自動車メーカーがリコール費用を肩代わりした額は、1兆3000億円に達しており、これを含めるとタカタの負債総額は1兆7000億円と、製造業の倒産としては戦後最悪となる。
トヨタ自動車は世界で2700万台がリコールの対象となり、5700億円に上るが、この大部分が回収不能として既に引当金を計上している。
ホンダも20016年3月期までの2年間でリコール立替費用が5560億円となり、既に引当金を計上している。
日産自動車は907億円、スバルが735億円、マツダが407億円のリコール費用を開示しているが、三菱自動車は開示していない。
リコール費用は少なくとも合計で1兆3309億円に膨らんでいる。
これには、海外メーカーのリコール費用は含まれていない。
タカタの主要顧客は、ホンダ、ルノー・日産、GM、トヨタ、VWで、全体の52.8%を占める。
日系メーカーが43%、欧米・アジアメーカーが57%の割合となっている。
当初リコール対象となっている製品は、硝酸アンモニウムほ火薬材料に使い、乾燥剤を含まないタイプの1億個で、異常破裂を防ぐとされる乾燥剤を含むエアバックのリコール有無は決まっていなかった。
しかし、2017年7月11日に、米国運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は、新たに乾燥剤を含むエアバックの初期に製造された一部、270万個をリコール対象にすると発表した。
フォード、日産、松田の車両に搭載された製品が新たに対象となるという。
乾燥剤を含むエアバックの累計生産個数は1億個で、NHTSAから2019年末までに安全性を証明できなければ、さらに追加リコールが求められ対象個数が合わせて2億個に倍増する。
乾燥剤を含むエアバックが全てリコール対象となった場合、1.5兆円近い交換費用が新たに発生すると予測されている。